物置

雑多に、備忘録として

【人生の実績解除】はじめての喫煙

あらゆるものがある程度法律の範囲内で許される20歳となった当時のわたしは、やれ新歓だ、やれ打ち上げだ、やれ鍋パーティーだ、とことあるごとに飲み会に参加し、時には「俺とお前と大五郎」コールで限界値を超えて飲み、胸がないことを悲しみ泣きじゃくるようなかなりめんどくさい奴だった。しかし、時を同じくして解禁されたタバコには手を出さなかった。煙たいのが苦手だったのと、謎の抵抗感が強くあったからだ。中学や高校の保健のテキストで見た真っ黒な肺の写真が脳に強く焼き付いていたからかもしれない。周りの人間から「やめた方がいい」と言われていたからかもしれない。

それから9年ほど経って現在。急に(タバコやってみて〜〜〜〜〜)と思うようになった。ブログで「人生の実績解除」なんて銘打って好き勝手書く中で、「マリオみたいに残機のない人生なのだから死ぬ前にある程度なんでも経験しておいて書き残したい」という欲が出た結果だ。

 

ある日「煙草吸いてぇ」と喫煙者である友人に話したところ、煙草を1本もらってしまった。これはものすごく申し訳ない気持ちになった。だって、めちゃくちゃ税金乗せられてるじゃんコレ……。それを後日寝る前に吸ってみたところ、むせたにはむせたがひどくむせることはなく、また味や煙で「げぇーーーー」となることもなかった。ただ、交感神経が優位に働いてしまったのかめちゃくちゃ頭が冴えてしまい、その後なかなか寝付けなかった。寝付けずに天井を見ながら、人生が煮詰まった時用に一箱持っておくのも悪くないな、そう思った。

 

そこで、初心者でも吸いやすいタバコの銘柄を知るためインターネットの海へとダイブした。

知識は1ミリもなく、タールとニコチンの量が低ければ吸いやすそうという考えしか持っていない。かつ、場末のスナックのママが吸ってそうな細〜〜〜〜〜〜い長い煙草に憧れがあったため、そんな感じのものを調べて一箱買ってみようと思った。

 

というわけで、ドン。

ピアニッシモ・アリア・メンソール

f:id:meronoannohito:20230927011612j:imageこの写真を撮った時、わたしは誕生日を迎えた。誕生日にウッキウキで初めて買ったヤニをカメラに収めているアラサー独身女性。

パッケージがいかにも女性向けな、ちょっと縦長な箱。場末のスナックのママが吸ってそうな細身のやつ。ピンクの箱のものもあるそうだが、ピンクはわたしのキャラじゃないのでやめた。

購入時、成人しているし万が一の年齢確認時も堂々と免許証なりマイナンバーカードなり見せればいいだけなのだが、ものすごく緊張した。酒を初めて買ったとき並みに緊張した。人生で一度しかない経験は何歳になっても味わえるんだね……。

フィルムを剥がした瞬間、ミントの香りが背伸びするかのように鼻に入り込んできて驚く。強い。箱の底面には賞味期限が書いてある。煙草って賞味期限あるんだ。あると思わなかった。湿気てなければ無限に大丈夫だと思ってた。知らないことってまだまだたくさんあるんだなと実感する。箱を開けてアルミ紙をビーーーっと剥がす。ミントの中に煙草の匂いが少し混じる。

一本取り出して口に咥え、なぜか家にあった日本酒「高清水」のマッチを擦り、火をつけた。

味はよくわからん。でも、メンソールタイプだからミントがスーッと鼻を通る。服や髪の毛がタバコくさくなるけど、やはり気晴らしにちょうどいいなと思う。普段緑色のキシリトールガムを噛むことが多いのだが、喫煙所があるところなら代わりにコレもありかもしれない。

これを誕生日にやるムーブは酒タバコを知ったばかりの学生のノリなんだよな~~~~~~~~~、もう29だぜ。とかなんとか思いながらも「実績解除」の瞬間は唯一無二。わたしはこの瞬間こそ大切にして生きていきたい。

 

余談だが、「誕生日はケーキ食べたの?」とよく会話する職場のマダムに聞かれ、わたしは「はじめてタバコ吸ってみました」と答えた。「え~~~~~、似合わな!!!」と一蹴された。さ、左様でございますか……。

 

体調を崩したばっかりなのに健康不安の危険性を高める嗜好品を始めてしまった。酒はすっかり控えていたのに。今のところ2週間に1本吸うか吸わないかの頻度。わたしの好きなVTuberのジョー・力一さんも年一回吸うか吸わないかの頻度らしいので、ほどほどの距離を保っておきたい。

それにしても、パッケージにデカデカと健康への悪影響を警鐘する文言が書いてあるのを横目に吸う煙草は、己の身体に対する背徳感と罪悪感がマシマシ。吸わないにこしたことはないのはわかる。わかるが吸う。ゾクゾクする。