物置

雑多に、備忘録として

「SIX HACK」に脳が追い付かない。

わたしの住まいはテレビ東京の番組が早くても数ヶ月遅れで放映される「テレビ東京不毛の地」東北地方なのだが、たまたま目にした記事で気になっていた「SIX HACK」という番組をYouTubeで一気見してしまった。

www.buzzfeed.com

事前の知識としては、ビジネスハックをお送りするなんか胡散臭い雰囲気の番組。ただ、内容がヤバいとか、よく地上波でやったな、みたいな感想を少し見た。極力上記の記事含めネタバレや考察は目に入れないようにした。

 

SIX HACK(テレビ東京)の番組情報ページ | テレビ東京・BSテレ東 7ch(公式)www.tv-tokyo.co.jp

 

以下、ネタバレありの感想。

 

 
#1

オープニングからウソくさい。メインMCはユースケ・サンタマリア。その後ろに白いシャツやブラウスを着た観客がいて、「Conscious Expantion」の掛け声と熱烈な拍手で番組が始まる。新手の宗教?

会議で勝って偉くなる」がテーマ。なんか「たべてつよくなる」みたいだな。ビスコか?文字通り会議で使える?ハックがたくさん出てくる。それぞれにそれらしい名称がついているのもそれっぽい雰囲気を醸している。「Nagata phrase」なんて政治家を揶揄するものもあっておもしろい。「検討は重ねれば重ねるほど良い」みたいなことを言うので、かなりおちょくってるな。全体的に人を怒らせるハックしかなくて実用的かどうか疑問を感じる。

一部、不自然な箇所がありそこが気になった。「Obvious Repeat」の解説でハックの名称の音声が差し替えられてた気がするが、一体……?内容は完全に小泉構文のことだと思うんだが。

ハックを紹介するVTRに出てくる「吉田」と呼ばれるスーツの男、顔が白塗りで唇だけ赤くて目がない。不気味だけど見ちゃう不思議な魅力がある。なんで目がないんだろう。部長はちゃんと人なんだけど。

最後に今日の内容を分かりやすく纏めた図が出てくるのだが、これが本当にわかりやすくない。「カツカレー」しか目に入らない。「勝って偉くなる」だから「カツ」で「カツカレー」?どういうこと?

番組の最後に挿入されている映像が不穏。「わたしたち あなたたちの脳には リミッターがかけられています」とかいうカクついた映像と説明の合成音声っぽい声が流れる。不安な気持ちになる。シンバルを構えている手の映像、無音で表示される指示とカウント。ひとまずこれはこれはメンタルヘルス的な何かとか、自己暗示的な何かなのかと思った。#1の時点では……。

どうでもいいけど、TBS辞めた後の国山ハセンをユニクロのCM以外でまともに見たの初めてだったな……。

 

#2

SNSで勝って偉くなる」がテーマ。アイコンの作り方、プロフィール、バズるための投稿内容まで吉田が細かく教えてくれるけど、どれも意識高い系ビジネスマンのTwitterのプロフィール欄みたいでやっぱりおちょくってるなと思う。

アイコンはカジュアルな格好でマイクを持っていると講演会の雰囲気あってそれらしい、とか。プロフィールの肩書きはそれらしい感じに作れ、とか。山田、「人間進化コンサルタント」って肩書なんだよ。

今回の内容のキモは炎上だと思った。「常識から逆張りすることを投稿しろ」はかなり的を射ていると思う。特に食、金、性の要素を持つ内容は興味を持たれやすく炎上しやすいとのことで、某格安イタリアンレストランの例が出されていた。大変勉強になるなぁ〜〜。それから、唐突にホンジャマカ石ちゃんが現れてガッツリメイクをしインスタ用の写真を撮るさま、シュールすぎる。

また「脳のリミッターを外す」ための映像が流れる。今度は黒板を爪で引っ掻こうとする手が現れる。わたしはこういうものに耐性があるのでなんとも思わないが、苦手な人はこの絵だけで顔をしかめるんじゃなかろうか。やはり無音なので「脳のリミッターを外す」ためのトレーニングなんだろうけど、なんか引っかかるものがあるのは気のせいか。なんか、洗脳しに来ている?

その後の映像が前回より長くなっている。海外のニュースキャスター風の男のアニメーションが「種を植え付けられている」とかなんとか話していて、そこに釘を打たれている人の後頭部や電動ドライバーみたいなもので額に穴を開けられている人の絵が映る。怖い。怖すぎる。でも観ちゃう。怖いもの見たさで、怖いけどその先が知りたくて観ちゃう。

その「種」を植え付けられた人は口や鼻の辺りから発芽してしまい、自分の意思で行動できならなるらしい。自分の意思とおもいこんでいるものは実は他人がコントロールしている。それは「No eyes」と呼ばれる人たち?が仕組んでいることで、世界はその人たちに支配されているとも。

?????

正直、言っていることが全く分からない。都市伝説とか陰謀論とかそういう類の話になってきたなぁとは思った。どっかで関暁夫出てくる?そんな雰囲気は正直ないけど、ただ、この番組が相当おかしな方向に進んでいることだけは分かった。エンタメだから気楽にこのまま全話一気見したい気持ちもあり、万が一、もしも、仮にエンタメじゃなかったら……とこれ以上は見るのきついかもという気持ちもあった。わたしは影響されやすい人間なので、全てを知った後に精神的に落ち込む可能性があったから。でも再生ボタンを押す指を止められなかった。

 

#3

集合的無意識」……ってビジネスハックの枠から外れてないか?3回目の初っ端からアクセルベタ踏みしてきてて、何も知らない視聴者は置いてけぼりすぎる。

マズローの5大欲求という有名な図が出た後に、別の新たなピラミッドの図が示される。それの頂点には「真=神」とある。あちゃーという感じ。都市伝説とか陰謀論とか、なんかそういったものの類すぎるだろ。

瞑想は精神の安定や集中力を高めるといった意味で効果があるし意識高い系の方々の大好物(ど偏見)だと思うからまだ分かるんだが、分かるんだが……。鼻に点鼻薬みたいなものぶっ刺しての瞑想はマジで意味分からなかった。すんごいものを見せられてるし、演者の皆さんすごすぎだろ……と思った。絵面がちょっと笑けてしまう。この瞑想、鼻にぶっ刺したものが脳に直接作用して宇宙と繋がり?「真=神」に近づける?らしい。「暖かいものに包まれるような」とか「空から見下ろしているような」とかそういう感覚になるらしいが、ちょっと何言ってるか分からない。

世の中を支配している権力者は「No eyes」。それに対抗する人が「New man」なので、みんな「New man」に進化しようねってことらしいが、話が飛躍しすぎて訳が分からない。そういえば、VTRでもろもろ説明してくれる吉田には目がない。「目がない」って意味ではこいつ「No eyes」じゃないか……?そういうこと?

本編最後のとても簡潔にわかりやすい図がますますわからなくなっている。そして、今回スタジオパートが全体の尺の2/3くらいで終わってしまう。ということはもう1/3は謎のヤバすぎるサイケデリック映像なわけだ。たぶんこれ電子ドラッグ。頭の処理が追いつかなくて、とりあえずこういうものだと思いこんで観た。またひとつ偉くなれただろうか。

わたしはこれを休日の夕方に布団という聖域に潜って見たからいいものの、たまたま深夜にテレビつけてこれを観たら、きっと恐怖で泣いてしまう。いい大人だけど恐怖で眠れなくて泣いてしまう。明るいうちに見て本当に良かったと心の底から思ったし、この番組に限っていえば「テレビ東京不毛の地」で良かったとも思う。

 

検証

何故「SIX HACK」の番組内容がこのようになってしまったのか、止めることはできなかったのかをインタビューと再現ドラマで検証する番組。「ひぐらしのなく頃に」でいう解答編という位置付けだと、そう思った。

おそらく演出の「佐藤(仮名)」は企画案を出す段階で既に精神を患っていたんだろうなっていうのと、小学校教諭の同居人も陰謀論に傾倒していたんだろうなっていうのはわかった。「カーボナイズ」が進んでいるとか話してたし、職場で児童に向かってきな臭い説明してたし、黒板にでかでかと「ケムトレイル」と書いてあったし(モザイクがかけられているが)。

それから佐藤の先輩である「桜井」の存在。佐藤の中の別人格ってことはわかった。街で配ってたビラや佐藤が見ていた怪しいサイトは桜井という人格が用意したものと示唆するシーンが最後のほうにあったので、桜井があの陰謀論を練り上げていたんだろうなと思う。手が込んでる……。あの怪しいサイト見てみたいなあ。元気な時に。

#3の冒頭にはあったユースケ・サンタマリアが「炭化した眼球」と答えるシーンが#3本編内ではカットされていた。そこが使われていた。「炭化した眼球」……右目が乗っ取られている……そういうこと?

それから、カンペで出していた「■■■を打つと眼球が炭化して死んでしまう」の■■■の部分はなんだろうなとずっと考えていた。ここ最近なら……と思わざるを得ない気がする。それならユースケ・サンタマリアが「テレビでそんなことは言えない」とカンペ内容を拒否したことに説明がつきやすい。実際の収録時の映像が流れるが、拒否するユースケ・サンタマリアに対して声色を変えず「もう一回お願いします」と繰り返す佐藤(実際は大森さんという方らしい)があまりにも感情が無さすぎて怖かった。表情が出ていたわけではないが、声色がフラットすぎて。

1人の人間が狂ってしまいトンデモ番組を作り出す裏側まで見せるとは、ウソとホントが曖昧になった大変気味の悪いエンタメだなぁと思った。本当にエンタメで良いんだよね?と思って全て見終わった後ものすごい勢いでTwitterを見たけど、エンタメで収まっていてひとまず安心した。検証番組やるレベルってなったらBPOが出てきそうだし他のメディアも報道するだろうから嫌でも目に留まるはずだものね……。

 

 

こういう構成の番組を初めて見たので、脳をガツンとやられてしまった。ガツンとやられてしまったので勢いで感想を書いてしまった。モキュメンタリーというらしい。そのジャンルに初めて触れたのだが、現実と虚構の区別がつかなくなる怖さやその曖昧さがすっごくおもしろかった。特にコロナ渦で不確定な情報が氾濫しているインターネットやそういったコミュニティをネタにして仕立て上げたんだろうな、っていうのが感じられて。そういう意図じゃないかもしれないけど、わたしはそう感じた。

おもしろかったけど、ちゃんとエンタメと割り切れる人じゃないとまずおススメできない。それから、じっとり系のホラー映画を観てメンタルにくるタイプの人なんかは、メンタルが丈夫な時に観た方が良い内容だった。自分のことなんだが。それくらい精神に作用する可能性が十二分にある。特に番組最後のアニメーション映像。ブラクラみたいな怖さや不気味さ、耳を塞ぎたくなるような声や話の内容が盛りだくさん。下手したら夢に出てくる。合成音声の抑揚があまりない話し方って、こういうめちゃくちゃな映像と合わさると自己が乗っ取られそうな感覚に陥ってぞくぞくする。

 

paraviはもちろん、TVerYouTubeでも公式配信されているので見れそうな方は是非。でも無理はしないほうがいい。わたしはTVerで2週目いっちゃいますかぁ?と思っている。メンタルが元気な今のうちに。