可能な限りネタバレ無しで書いていきます。
念の為。もしこれから「未解決事件は終わらせないといけないから」をプレイする予定がある、またはこのゲームに興味のある方は何の情報も入れずにプレイすることをお勧めします。
サクッとプレイできて、ゆったりとしながら秋の夜長に楽しみたいゲームです。
あらすじ
警察官を退職し12年。主人公の清崎蒼には後悔があった。そんな時、「未解決事件を終わらせて欲しい」と清崎の元を訪ねる警察官が一人。当時の証言を元に「犀華ちゃん行方不明事件」の真相に迫る。
ゲームシステム
ゲームシステムは、「犀華ちゃん行方不明事件」に関わる人々の証言を時系列に並べ替えるのが主となる。また、記憶が混濁しているのか証言者がごっちゃになっているものもあって、話の内容から正しい証言者の証言として並べ替えることも必要になる。画面はTwitterのタイムラインが複数あるような感じにも見えたし、サウンドノベル「街」のザッピングシステムの画面のようにも見えた。
また、証言はハッシュタグで表示されるワードによって関連付けられ、新たな証言が解除される。そしてそれをまた時系列に並べたり証言者を入れ替えたりする。中には鍵のついている証言もあって、時系列に並べることで得られる鍵を使って開くものと、日付や根拠となる証言をすでに得た証言内容から探すものと2種類ある。このゲームはとにかく文字を読んで見つけたり考えるゲームだと思う。
エンディングは2種類あった。真相に辿り着いた時に分岐が現れるのでそこで選択するが、片方は鍵が2つないと見ることができない。
チュートリアルがふわっとしていたので、理解するのにちょい時間がかかった。ゲームの雰囲気的に説明過多にならない方が良いんだろうけど、戸惑う人もいたと思う。もちろん、自分も戸惑った。
ざっくり感想
ストーリーについて
ネタバレ避けて書くとなると抽象的なことしか言えなくなるが、徐々に事件の真相が明らかになっていくその過程で明らかになっていく真実が、じわじわと波のように突きつけられていく。その真実が全て明らかになった時、薄々そうなんじゃないかと思っていたから衝撃の強い内容とは思わなかったけど、「ああ、そうだったんだ」と涙があふれて止まらなかった。さざなみみたいな真実だった。誰もが嘘をついていて、誰もがその嘘で自分の大切な人を守ろうとしていたのだった。
それは果たして良いことなのだろうか。嘘をつくことでまさか自分が守られているとは夢にも思わないし、なんなら要らぬ誤解を与え続けてしまうだろう。嘘をつく人間が過去から一歩踏み出せないように思う。それでも嘘をつくのは、守りたい相手が脆く崩れてしまいそうだと思っているからなのだろうなと感じた。優しさからなのだ。でも、その優しさが余計な罪悪感を生んでいる。
やさしい嘘は全くもってやさしくない。守りたい相手にも、自分にも。それを「犀華ちゃん行方不明事件」を通して気づいた登場人物もいたのではないか。というか、いてくれ。そう切に願う。
このゲーム、韓国の開発者Somiさんの作品なので元の言語は違うのだが、ローカライズが完璧すぎて驚き。不自然な和訳がなくて物語に深く入っていける。本やゲームの翻訳物が苦手で本だとニュアンスが難しくてうまく理解できなかったり、洋ゲーなんかプレイしてて内心(???)と思う会話内容を日々目の当たりにしたりしているので、こんなに自然で読みやすい翻訳テキスト素晴らしすぎる!おかげさまで最大限楽しめました。ありがとう。
演出とか
画面はほぼモノクロで、ポイントポイントで色が使われているのが結構好きな感じだった。視認性が上がるし、重要なところだとわかりやすいしグッド。証言ごとにグラフィックがあって、それも良い。ドットで表現されているが表情が細かくてあたたかく感じる。
それから音楽、めちゃくちゃ良かった……!タイトル画面も、プレイ中も。全編ピアノ曲なんだけど、ゲームが進むと音が増えていく。なんとなく進行度合いが分かるし、佳境に入ってきてるのか?という気持ちにもなったし、ストーリーと相まって心にくる。サントラが欲しい。Steamにあるようなので買います。
ちなみに当方、Switch版をプレイしました。場所を選ばずできるから、布団に潜りながらプレイできて最高。寝る前にちまちまと進めていた。
まとめ
人の心のやわらかいところをそっと突いてくるような、そんなゲームだった。本当は記憶を消してもう一度プレイしたいくらい。忘れることはできないだろうけど、きっとまたいつかプレイするだろうなと思う。