物置

雑多に、備忘録として

藤井隆「Music Restaurant Royal Host」に感じるホスピタリティ。

相変わらず全編敬称略で失礼します。

藤井隆5年ぶり待望のニューアルバム「Music Restaurant Royal Host」。聴きながらうっかりひとりで踊り明かし疲れた頃には仰向けで天井を見上げ「たのしかったなー」と呟く(比喩)くらいには、秋の夜長にぴったりの最高すぎる1枚だった。

扉を開けると笑顔で出迎えてくれる白ジャケット店長、藤井隆。曲目はシティポップ、新しいけど懐かしい音がそろっていて飽きることはない。目移りしちゃうくらいどれも好みの曲で、どれをオーダーしようか……。迷っていると、数あるメニューのなかから「こちらいかがですか?」とジャケ写のウェイター藤井隆がそっと一品すすめてくれる……そんな心象風景も構築される。その笑顔が眩しい。なるほど、一度聴くとここはロイヤル、ロイヤルホスト。しかし、わたしはロイヤルホストを知らない……。

Music Restaurant Royal Host (初回限定盤)(特典:なし)

Music Restaurant Royal Host (初回限定盤)(特典:なし)

  • アーティスト:藤井隆
  • よしもとミュージック
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以下、良さを伝えたい各曲の感想。

 

未来エキスプレス11

エキスプレスとかいう、「キ」のちょっとハイカラ感。

サウンドが未来。レストランという割にはいきなりエキスプレスなんてぶっ込んでくるあたり、メニュー(曲目)のバラエティ豊かさがありありと伝わる。きっとこの超特急はめくるめく藤井隆ワールドに連れて行ってくれる。そう確信する。

イヤホンで聴くと、軽めのパキポコとした刻んでいる音が心地よい。ビートボックスなんかでよく聞く音。なんていうんだ?たとえ飲み会の朝帰りだろうとわたしの足取りも軽やかになる。カーステで聴くと、序盤のミニマルさから徐々に音の広がるさまを身体で感じられる。車内いっぱいに行き渡る音。電子音の波のような、打てばホワン…ワン……ワン………と響く寒天のような……そんな比喩。とにかく心地よい。

それから、要所要所に入るピアノもいい。ワンフレーズ入るくらいだけど、それがムーディー。歌詞は「踊り明かそう 朝まで」とあるけど、ピアノのおかげでどんちゃ騒ぎではなくしっとりとした印象を与える。もう、好き。一曲目から好き。名盤確定。常に過去最高を更新し続ける男、藤井隆。実質ボジョレーヌーボー

 

We Should be Dancing

Dancing!!

踊ろう!踊れよ!絶対踊った方が楽しいよ!よし、踊ろう!とめちゃくちゃ踊ることを推奨される曲。真っ昼間から会社勤めのいい大人達がオフィスをダンスフロアにして踊っているイメージが浮かんだのは何故だろう。それくらい明るく、楽しく、ストレスなんて吹き飛ばして、イヤなことは忘れて、みんなで踊ればいいじゃん!と言われているような気がしてならない。

隆もさることながら、KAKKOこと鈴木杏樹さんの声が我々を先導してくれる。「みんなで 楽しもうよ」と。「感じて 身を任せて」と。踊り方はなんでもいい、心のままに体を動かせ!

 

アイリーン

なるほど、シティポップ!!!って感じのシティポップ。ただシティポップビギナーゆえ、「シティポップ=山下達郎・竹内まりあ」の図式がいまだに抜けない。歌詞カードの著作権表記を見てオリジナルを聞きに行き、おかげさまで安部恭弘さんを知れた。優しいまあるいお声、良さぁ……。本格的にシティポップを履修しなければ。聴きあさる日々。

忙しさゆえの生活リズムの違いか、時を共にできないふたり……。彼女を起こさないようにそっと見守る。オリジナルの安部恭弘さんにも負けず劣らずな隆の優しい声音が余計に胸を締め付ける、のはわたしだけか。

全曲聞き込めば聞き込むほど沁みていく感覚があるが、これは特に隆の声の良さに気づかせてくれる一曲。

 

ヘッドフォン・ガール‐翼が無くても‐

先行配信曲。

音楽って、自分だけでなく世界を変える魔法があると思って生きている今日この頃。これです。音楽のチカラを信じた曲は。

「世界と戦う魔法が ほらポケットに」とすでに世界を変える力があることを教えてくれる藤井隆プリキュアのマスコットみがある。現代社会をサバイブしなければならないみんなの味方……。病める時も健やかなる時も傍には音楽があった同志ならきっと共感してくれる。多くは語らない。聴いてくれ。

 

おやすみ 東京

一生田舎民のわたしには「東京=眠らない街」という方程式が揺るがないのだが、隆はおやすみと言ってのける。たまにはぐっすり眠ってもいいじゃない、忙しない日々をちょっと横に置いとてさ。転じて、毎日余裕なく過ごす女性たちに「一息ついてもいいんじゃない?」と語りかけているような気がしてならない。東京の夜をエスコートしてくれる隆。

実際東京の夜景はとてもきれいだし、上京した際は旅のお供にしたい一曲。個人的には湾岸エリアの夜景が好きです。

 

ムーンライトアドバイス

歌い出しがエジプトとか言うので、わたしが最近まで「アサシンクリードオリジンズ」をプレイしていたことを見透かされたのかと思いました。勘違いですね。

とにかく歌いだしがスピリチュアルな始まり方してるな……と。聴く月刊ムーか?よくよく聴いてみると、やってみなきゃわかんないよね、預言めいたものが案外当たってるなぁ、みたいなわたしとしては分かる~~~という内容。サビの「いい加減なようで それがいい加減 ムーンライトアドバイス」がいい味。なんだそりゃ!と声に出てた。と同時に出勤前の胸のざわつきがましになったので、肩ひじ張ってるときに聴きたい曲になった。ありがとう隆……。

この曲もミニマルな雰囲気だなと。隆の声がより際立ってるような気がする。さらに三味線が入るのも良い。より引き締まる感じがするよね。はちゃめちゃにクール。

 

メモリアフロア

こちらも先行配信曲。

この曲の歌い出しのコーラスが好きすぎて感謝しかない2022年秋。たまらなく好き。圧倒的感謝。多幸感しかない。「数えきれない メモリア」。互いにオクターブでハモるこの感じ、すんごい気持ち良い。

小さな部屋でも真夜中になればフロアへ様変わり。君といればいつだって楽しいよね、みたいなキラキラソング。こんなにうずうずわくわくする曲、そうそうないってくらい思わず口ずさんで踊ってしまう。

「いつもありがとう なんて言わないで こちらこそLOVE」。なんてことないのに刺さりまくる歌詞。ストレートな愛情表現は誰からも愛されるコツのひとつと物の本で読みました。なるほどこれか、と。小さな思い出をふたりで話して笑いあってるような、暖かい気持ちにもなる。とにかく心がほわんっとするし、元気も出る。

仕事中にふと脳内で流れ出してしまって客の前でバレないようにノリノリになるレベル。楽しい。バレないようにしているあたり、辛うじて理性は働く。

 

14時前にアレー

「SLENDERIE ideal」収録曲。めちゃくちゃに聴いた。ここで余談。収録、レイザーラモンRGがカバーしている「アクアマリンのままでいて」がハマり曲過ぎるので万人に聴いてもらいたい。声と曲がマッチしてるんよ……。是非。

残暑厳しい夏って感じと昼過ぎっていう明るい時間設定とポップで軽快な感じの曲となんだか陰がある歌詞と、全部良いよぉ……。Aメロで低音な隆の歌声が楽しめるのがとても……良い。なんでこんなに爽やかな歌声なの……?ひと夏の不思議を体感したような気分。最後のサビのほんとうに最後「あぁ また」の落胆の仕方、がちょっとこわい。もしかして、世にも奇妙な物語だったのか……?タモさんがニヤッとして出てきて番組ロゴが右下あたりに出てCM入るところまで想像できた。

 

東西南北

「コーヒーとパン」から始まる、朝食かと思いきや、移動の途中べ食べているらしい。歌詞を聴きこみ読み込むと、なんか、こう、もつれというか、齟齬が生じたようなもどかしさを覚える。イメージトレーニングをしていてもその場面になると思い描いていた通りに物事を運べない、なんてことは人生においていくつも出くすわけで、そんな後悔ややるせなさを思い出してしまう。つい過去を振り返ってしまう隆と(この曲を聴いて感傷的になる)わたし。思いを正しくまっすぐ伝えるのは難しい、そんな曲に思えた。音の少なさが余計にセンチメンタルマインドへ引き寄せる。こんな気持ちになるのも、良い。

 

Chocolate

クラフトワークっぽいようなYMOっぽいような、バキバキっとした固い電子音がカッコいい。It's so COOL.詞の短いフレーズを繰り返すあたりや声のエフェクトの感じにも、やはりクラフトワークYMOに近しいものを感じる。好きぃ……。

全体的な空気感は無機質なんだけどチョコレート。この取り合わせが良いなぁと思う。カッコかわいいデザート曲。ほぼ英語詞だからカッコいいが勝る。レストランなんでね、デザートあるよね。でも、ただ甘いだけじゃない。このビターであとひく一曲は、またアルバムのど頭から順番に聴きたくなってしまう力を持つ。そして終わらないループへ。一生聴きます、本当にありがとうございます……!

 

以上、楽しませようとする溢れんばかりのホスピタリティ。どれだけこのアルバムが聴くロイヤルホストぶりを発揮しているかお判りいただけたところで、とどめにロイヤルホストのホスピタリティを存分に感じられる映像もどうぞ。アルバムタイアップ、という割には9割5分ロイヤルホストの話しかしていない。完全に広報ムービー。もしくは会社説明会。最後にチラッとアルバムの紹介が流れる程度。藤井隆ロイヤルホスト愛が十二分に伝わる……。


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ところで、ロイヤルホスト50周年おめでとうございます。こんだけロイヤルホストと言う割には、わたしは「ロイヤルホスト不毛の地」に住んでいる「ロイヤルホスト無知」です。しかし、このアルバムの初回盤(歌詞カードがロイヤルホストのグランドメニュー)と上記動画のおかげで今、ロイヤルホストにワクワクが止まらない。世の中にはこんなにすてきなファミレスがあるのか。わたしの住む県にもほしい。感じたい、ホスピタリティ。ロイヤルホールディングス様、ロイヤルフードサービス様、わたしの住む県にロイヤルホストをどうか、どうかお願いします……!