昨年の今頃に観た映画「ドライブ・マイ・カー」で知った新進気鋭の若手俳優、三浦透子。演技だけでなく歌もすごい。Amazon musicで初めて聴き、いてもたってもいられなくなって先日仕事帰りにCDを購入した。以下、詞も曲も刺さりまくってライフがもうゼロなひとりのアラサーのひとこと感想。
通過点
過ぎてみればただの通過点
ほんの数分で終わる笑い話にしよう
この詞に、歌声に、救われる人はどれだけいるだろう。耐え難い苦痛、仕事や勉強や育児や、生活のあらゆる場面で永遠とも思えるような時間に閉じ込められてしまうことが生きていればひとつやふたつあるはず。そんな袋小路で思い出したい。わたしも、よくわからない客によくわからない自慢話エトセトラを長々とされて休憩に入れず、お腹が鳴るのを必死に抑えながらいわゆる合コンにおける「さしすせそ」を駆使せざるを得ない場面や、その他人生の危機において脳内再生したい。
私は貴方
恋愛的な意味で交際したことが一度しかない人間ゆえ憶測になるが、結婚を決める時ってこんな気持ち、こんな瞬間なのかなと思った。似たもの同士がなんとなく同じ所帯になるというイメージがある。何気ない日常があなたとシンクロする。何気ない出来事を共有する。そうして日常は続いていく。
貴方えくぼ見せてくれた
それだけで良い
それが嬉しい
ここが好き。あと、マウンテンデューとかケイヨーD2とか固有名詞が出るのも好き。
intersolid
長い長い螺旋階段を降りていたはずなのに気づけば登っていた……?騙し絵みたいな曲。どうにも捉えどころがない。シンプルでありながら意表をつくピアノの音が、透明感のある三浦透子さんの歌声を得体の知れない怖さへ昇華している。気がついたらクセになってる……。
人におすすめされてYouTubeで雨穴さんという方がこの曲で踊っている動画を観てしまって、頭から離れない。
点灯
光量のあるライトが点灯するというよりは真っ暗な道にぽつんといるしょぼくれた街灯が点く、と言ったイメージ。ささやかだけど、道を通る誰かを照らしている。澄んだ歌声が寄り添ってくれるのが良い。不安な夜や寂しさを覚えた夜、どんな夜でも明けるまで優しく寄り添ってくれる一曲。
風になれ
わたしが高校生だったら、登下校に自転車を漕ぎながら口ずさんでいたと思う。坂道で速度を増す自転車でびゅうっと飛べそうな予感。未来の先まで見えてしまいそうな気がするけど、きっと誰にも分からない。青春の傍らにいて欲しかった。この曲が背中を押してくれるから。
「青い」って本当にいいなと一生思って生きていくんだろうなわたしは。
漂流
つまらない強がりやプライドを捨て、世間様向けの仮面を取り、ただ耳へ流れる音に身を任せる。そんな長い夜を過ごしたい。逆らえないことがあったり意味もなく涙が流れたり、まとまりのない思考に囚われて情緒が定まらない時に、この曲がそばにあってほしい。それだけでいいから。それだけで救われる心がある。
blur and flower
雪国も桜が咲いて春らしい気候になり「春だな」と季節を踏み締めてドライブすると、自然と心が躍りだす。この曲はなんだか春を告げる歌のように思える。もしかしたら夏かもしれないけど、わたしは春の曲だと思った。どこまでも行ってみようか、なんて言いながら特にあてはないけど心を躍らせて遠くへ出かけてみたい。
サックスの音が待ち遠しかった春を喜ぶ声のように響くのがすごくいい。きっと空まで響いてる。あー、春だなぁ。
以上。ストレスがひどくてゆとりない日々を過ごしていたわたしに三浦透子さんのゆっくりじんわりすーっとしみていく歌声と音が、いつもどおりのわたしを取り戻してくれた。もしかしたら聴くポカリスウェットなのかもしれない。忙しさにかまけて心の汗を拭いきれない時、心の水分補給が必要な時に5分でも一息つきながら一曲聞きたい。
このアルバムに出会って、わたしは音楽に生かされているとより一層強く感じた。ほんっとうに、音楽ってのは良いものですね。
ところで、昨年末ぐらいからAmazon musicのプライム会員向けの仕様が激変して激萎えだったのだが今回三浦透子さんの曲に出会えて、新しい曲を求めてザッピングするには良い仕様なのではないかと思えた。なんでもある程度前向きに捉えて生きたい。