ゆとりある物置

この世の覚え書きとして

【人生の実績解除】親知らず抜歯(4年ぶり2度目)

11月の話。以前からなーーーーーんか生えてきてる感覚があった右下の親知らず、とうとう歯茎が腫れて痛すぎてどうにもならなくなったので、かかりつけの歯医者へ行った。かかりつけは口腔外科のない歯科。4年前に左下の親知らずを抜歯していたので今後の流れは察していたのだが、案の定大学病院への紹介状を持たされ院長先生の「早いほうがいいよぉ~~~」を鵜吞みにその日の午後向かった。

 

大学病院など滅多に行くことがないから、少しどきどきする。入った瞬間窓口が多すぎて。とりあえず新患受付へ紹介状を出しながら保険証と4年前に作った診察券を出す。マイナ保険証も登録しているので、機械で顔認証その他諸々を行うように言われる。マイナ保険証の一連の流れはよくわからん。よくわからんと思いながら画面に従った。しばらくは慣れなさそうだ。

書類も書くように促され受付に出し、しばし待ちの時間。その後呼ばれて3階の口腔外科の窓口に行くように言われた。

口腔外科の窓口に診察券の入ったファイルを出し、受付の方から血圧を測って紙を出してくれと言われる。血圧、正しい位置に腕を入れることができないのはわたしだけだろうか。とんでもない数値が出たらどうしようと思いながら肘を血圧計の肘スイッチ(と呼んでいる)に置いて計測開始。血圧、上が118だった。わたしは低血圧。でも、さすがに午後だからそれなりに上がっている。

 

しばらくして呼ばれ、診察室に入った。

めちゃくちゃ美人で若い先生に親知らずを見てもらう。その時の親知らずは薄っすら頭を出していたのだが周りの歯茎がすっかり腫れていて、埋もれているような状態だった。耐えられないほどではないものの、歯茎が腫れてて痛みがひどかった。先生はわたしの口腔内に指を突っ込み、その歯茎をぐりぐりとしながら「これですね〜〜〜。ちょっと膿んでるね。痛いですか〜〜〜?」などと聞いてくるので(超痛ぇ〜〜〜〜)と思いながら「ふぁい、いふぁいふぇふ(はい、痛いです)」と返した。キョトン顔でぐりぐりはなんかそういうプレイだなと思ったし、その日の診察が終わった帰り道、(なんかそういうプレイとか世の中にありそうだな)などと邪なことが頭をよぎった。そんなわけない。

その後、4年前の抜歯の際に撮ったCTとレントゲンを見ながらどこがどうとか話をされ、なんやかんやあって同意書にサインし、翌週に抜歯となった。

 

抜歯の日。大学病院近くの広い駐車場に車を止めようとしたところ満車で、1㎞ほど離れた駐車場に止めざるを得なかった。予約の時間ギリギリなのに駐車場が見つからない焦り。土地勘が無さすぎるだけなのだが。

予約の時間まで切羽詰まってたのでめちゃくちゃ早歩きで病院へ急ぐ。受付を済ませて口腔外科へ行き、血圧を測った。急いだ結果血圧が上がっていて、血圧の上が131という人生で見たことない数値を出していた。普段は会社の健康診断の看護師のあんちゃんに「低いですね〜〜〜〜」と毎年言われるほどなのに。抜歯だし、テンションも血圧もアゲていこうぜ〜〜〜、じゃないのよ。

割と早くに呼ばれて診察室に入った。一通り説明を受け、「血圧高いですね?急いで来ました?」「少し落ち着いてから始めますね〜〜〜」と先生に言われ、助手と思しき先生からも「準備あるんで、その間に落ち着いてくださ〜〜〜い」などと言われ、大学病院なので明らかに学生と思しき若人が3人ほどおり、わたしの抜歯がアカデミックな使われ方をするのだなぁとしみじみ思い呼吸を整えた。メガネを外しぼんやりとしか見えない秋晴れの午前11時の空を眺めていた。

呼吸を整え、先生の準備が終わったところで親知らず周辺に麻酔を打たれた。麻酔ってスゲェ。即効性がある。一瞬で口の感覚がわからなくなる。自分のものじゃないみたいだ。

親知らずの抜歯って道路工事とイコールだよなぁと思う。ガリガリのゴリッゴリに何かされている。一体何をどうしているのか。いや、親知らずを抜こうとしているのは分かるのだが、その過程がわからない。わからないから見たいけど、目元にガーゼを被せられているので、知る術がない。知る術がないわたしは自分の口腔内でまあまあデカい工事が行われていることを承知の上で眠る、これしかない。とりあえず目を瞑り、親知らずにかかる力を感じながら終わるのを待つ。

ガリガリされている歯は果たして親知らずなのだろうか。こんな歯あったっけ?などと考えていると、

「終わりました〜〜」

椅子がぐーーーーっと戻り「うがいしてくださ〜〜い」と言われる。

麻酔が効いてる時のうがいって水があさっての方向に飛んでビビった。口が緩いってこういうことなんだ……。麻酔していない左側で必死に水を堰き止めうがいをする。

そしてノー眼鏡で己の親知らずを見る。3分割されていた。抜きたてほやほやの親知らず。横に埋まってなければ抜くこともなかったろうに……。

その後抜糸の日程を決め、処方される薬の内容を聞き、診察室を出た。しばし待ちの時間。バタバタと先生がやってきて、「抜いた歯、持って帰りますか?」と聞かれ「あ、はいっ!」と反射で答えてしまった。こりゃあ家宝にするしかねぇ!

 

会計を終え駐車場までの道中、麻酔が切れてきた。いっっっっっっっってぇ…………。ちょっと元気だったら駐車場までの道にあるせんべい屋さんで南部せんべい(ピーナッツ)でも買おうか、なんて思ったのに。帰りにスーパーでも寄ってバナナとゼリーと野菜ジュースとカップうどんを買おうか、なんて思ってたのに。それどころじゃない。血の気が引いている感覚がある。まずい。なんとか駐車場まで歩き、車の中で10分ほど休み、止血用のガーゼを交換し、ノロノロ運転で家まで帰った。

そういえば、4年前も帰りに麻酔が切れて「いっっっっっっってーーーーーーー!!!!!!!」と叫びながら運転して帰ったなぁ、と思い出した。その時はお気に入りのパン屋さんで「ポテチパン」なるものを買って食べて帰ったんだっけ。今のわたしには、そのテンションもバイタリティもない。

 

4年前、初めての親知らず抜歯の時はひどく腫れたし、ひどく痛かったし、全くもってご飯が食べられなかった。

今回はどうだ。痛み止めさえ飲んでいれば割と噛めるしどうってことなかった。頬の腫れも大したことなかった。2回目だからだろうか。それとも前回よりも痛み止めが効いているのだろうか。前回と同じ薬を処方されたはずだが。

さすがに3日間はおかゆカップうどんを10分ほど置いたものを食べていたが、それ以降はいつも通りの食事を摂った。あまり固いものじゃなければ平気だった。痛み止めも毎食飲むもののほかにロキソニンを10回分出されていたが、3回くらいしか飲まなかった。抜いた直後がベリーハードだけど、それさえ乗り越えればイージーだった。

抜歯1週間後の抜糸も無事に終わり、経過も良いとのことで大学病院通いは終了した。前回は結構時間がかかったから、案外トントン拍子で進んだ親知らず抜歯だった。

 

さて、残りは上の親知らずだけだ。

上から生えてくるやつは切開する必要がないのか何なのか、下よりもすんなり抜けるらしい。いつ、左右どちらに奴がくるのか待ち構えながら生きることにする。